「肝腎要(かんじんかなめ」とは聞き覚えのある言葉でしょう。
これは古くから健康に関することわざで「肝臓と腎臓は人体の要(かなめ)であり、最も重要な臓腑である」という言葉からきています。
かなめとは扇の骨組みをとじて合わせるときに打つ釘のことで、バラバラな骨組みを束ねて扇としての働きをするために最も重要なパーツのことです。
それが広い意味で「重要なこと」「大切な部分」として使われているのです。
人体で要に相当するパーツが肝臓と腎臓であり、体が機能をするためには最も重要な臓腑をあらわしています。
最新の医療機器が存在しなかった時代から、肝臓と腎臓の働きを重要視していた東洋医学の先進性・分析能力には驚かされます。
先端医療の分野でも精密機器や分析機器を駆使し、人体の要である肝臓と腎臓の重要性も実証されています。
さて、では肝臓と腎臓が最も必要とする栄養は何か?との疑問には、専門家の多くはアミノ酸であると返答することでしょう。
それだけアミノ酸は肝腎要に必要な栄養であり、中でもオルニチン・メチオニンは肝臓と腎臓にはきわめて重要なアミノ酸なのです。
オルニチン回路
オルニチンは体内のタンパク質合成には使われないアミノ酸ですが、肝臓では重要な働きに使われます。
肝臓から排泄される有害物質「アンモニア」をオルニチンサイクル(尿素回路)で循環させることで、無害な尿素として腎臓から排泄するのです。
肝臓や腎臓は体内の解毒作用には欠かせない臓腑なのです。
オルニチンが不足するとアンモニアを処理することが出来なくなり、血液中にアンモニアが流れ出して脳に入ると脳を侵してしまいます。
オルニチン不足や肝臓の機能障害で有害な老廃物が排泄されないと、尿毒症や肝性脳症を発症すると意識障害や異常行動、はばたき振戦などの神経症状が現れます。
意識障害は昏睡状態に陥ることもあり、また、運転中や入浴中に発症すると大変危険な症状でもあります。
もちろん単体アミノ酸としてオルニチンが働くのではなく、体が必要とする20種類のアミノ酸が相互に働き、アミノ酸同士が協力し合う必要があります。
代謝にもオルニチン
オルニチンは肝臓が持っている、代謝作用を盛んにするアミノ酸でもあります。食事によって摂取した栄養素は、ブドウ糖やアミノ酸に分解しないと体内では使う事が出来ません。
肝臓はそういった代謝の働きをしたり、体内での調整役という重要な役割も担当しています。
つまり、オルニチンが不足すると生体活動に必要な栄養やエネルギーを潤滑に取りだすことが出来ず、体力や来呂木の低下を招くのです。
肝臓が働き、肝細胞が作られるのが夜ですから、肝臓の栄養となるオルニチンを摂取するのは夕食時や寝る前が効果的だと言われています。
メチオニンにも注目
必須アミノ酸として肝臓の働きを見て行くと、メチオニンの効果も重要です。メチオニンもオルニチンに劣らず、肝臓には欠かせないアミノ酸です。
メチオニンが不足すると、脂肪肝や肝硬変を引き起こす危険性が高まります。また、メチオニンには解毒作用があり、それが阻害されてしまうと肝臓に負担がかかって肝障害の一因になってしまいます。
メチオニンの不足は尿を作る働きが低下し、むくみの原因にもなるのです。